グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム > 診療科・部門 > 泌尿器科 > 患者さんへ-こんな症状の時には

患者さんへ-こんな症状の時には



人間ドッグ・健康診断で血尿があるといわれた

血尿の原因としては、悪性腫瘍(がん)、尿路結石、膀胱炎などの感染症、腎臓の病気などいろいろなものがあります。 試験紙でわかる程度の血尿では、異常の認められないことも多い(女性の90%以上は、異常なし)のですが、
  1. 細胞診(普通に排尿した尿の中の細胞を顕微鏡で調べる検査)
  2. 腹部超音波検査(エコー)
  3. IVP(造影剤を注射して、レントゲン写真を撮ります。) など、痛みの少ない検査をまず行います。これらの検査で異常を認めた場合、精密検査(膀胱鏡、CTなど)を行います。
    異常がない場合は、1年に1回程度、尿の検査(尿細胞診)を行い、経過観察をします。

肉眼的に赤い尿(肉眼的血尿)が出た

赤い尿が出たが、排尿痛や腰痛も同じ頃にあった場合は、尿路感染症や尿路結石などのこともありますが、泌尿器科専門医を受診してください。注意しなければいけないのは、一回だけ血尿を認めるのみで、その後は血尿が出ない患者さんがいます。膀胱癌や腎癌などの悪性腫瘍の場合には、このようなことも多く、泌尿器科で詳しく検査する必要があります。病気が早期に見つかると、内視鏡や腫瘍だけを取り除くような治療が可能になる場合があります。

PSAが高値と言われた

「ピー・エス・エー」は前立腺特異抗原(prostate specific antigen)の英語の頭文字を並べた略語です。その意味のとおり前立腺という男性の生殖器官でのみ産生されるたんぱく質です。前立腺の腺細胞から前立腺の腺腔内に分泌され、精液の中に混じって精液をさらさらにする作用があると言われています。血液検査で測るPSAは、本来は腺腔内に分泌されるものが血液中に"もれでた"ものです。血液中に"もれでやすい"状況になると血液検査での測定値が高くなるわけです。 前立腺癌では上がることが多いわけですが、他に前立腺肥大症や、前立腺炎、尿道にカテーテルなどがはいった状態(物理的な刺激)、尿が全くでない(尿閉)などの排尿状態の極端な変化は、PSAの値に影響をおよぼす可能性がありますので、少しくらい高い値であっても必ずしも「がん」ではありません。 PSAの基準値としては一般的に4.0 ng/mlという値が用いられています。がんの発見される割合はPSA値が4ng/ml未満でも50人に1人、4~10ng/mlで4人に1人、10ng/ml以上になると2人に1人とされています。当然のことながらさらに高値になればその割合は高くなります 当院ではPSAが基準値以上の方には、原則として皆様に精密検査(前立腺針生検)を行っています。

尿の勢いが弱くなってきた、排尿の回数が増えてきた

男性の場合、多くの場合前立腺という臓器が症状の原因となっており、特に中高年以降であれば、前立腺肥大症のことが多いですが、症状は同じでも、前立腺がんという病気が合併している場合もあり、最近増加していますので注意が必要です。 若い方なら前立腺炎が原因かもしれません。
女性の場合、おなかに力の入った時におしっこの漏れを伴う腹圧性尿失禁という病気の一症状かもしれません。他に原因の見当たらない場合、間質性膀胱炎という原因不明の慢性疾患が存在する場合があり、この疾患も女性に多く見られます。老若男女共通に見られる疾患としては、膀胱炎、尿道炎といった感染症がありますが、この場合は排尿時痛を伴うことが特徴です。 その他、糖尿病や脳梗塞の後遺症などによって、排尿に関する神経に異常をきたす神経因性膀胱という疾患もあります。

尿が漏れる

女性のかたに多いのが、咳やくしゃみ、立ち上がった拍子などに尿が出てしまう腹圧性尿失禁。これは骨盤底筋という尿道を含んだ筋肉が緩むためにおこります。加齢や出産を契機に出現したりします。かなりの方では骨盤底筋体操で治りますので、体操教室に(月に1回開催)に参加してください。他に薬による治療や、漏れる量が多い場合には尿道周囲を補強する手術を行います。腹圧性尿失禁のある方は実は多いのです。悩んでおられる方は、一度泌尿器科で相談されるとよいでしょう。また、尿意を催すと我慢ができずに出てしまうのが切迫性尿失禁です。 軽症の場合、薬で症状が取れますが様々な原因によっておこります。膀胱炎や尿路結石、稀には膀胱の腫瘍などで膀胱の知覚神経が過敏になっている場合や、脳血管障害をはじめとする神経疾患に伴ったりします。普段の排尿は普通なのに、自分の知らないうちに尿が出てしまうのが遺尿症です。子供で夜間眠っている間ですと"おねしょ"となります。排尿反射というのはもって生まれた膀胱本来の機能なのですが、脳がこれをコントロールする力が幼いためにあらわれます。心身の発達や精神的なストレスの影響も無視できません。時間とともに消失することが多いのです。他にも自分で尿が出したいのに出せない、でも自分の意思に反して尿が少しずつ出てしまう"奇異性尿失禁"などがありますが、このような場合は全身に悪影響を及ぼすことも稀ではありません。すぐに病院を受診しましょう。

睾丸がはれてきた

正確には"陰嚢の腫脹"と表現します。
陰嚢内には、(1)精巣(睾丸)(2)精巣上体(副睾丸)(3)精索(精巣を栄養する血管、精管)等が存在します。これらの部分に何らかの異常が生じた時に"睾丸が腫れてきた"と自覚するのです。"睾丸の腫れ"が生じた場合、以下のような泌尿器科学的に非常に重要な疾患が潜んでいることがあります。泌尿器科を受診されることをお勧めします。

痛みを伴った陰嚢腫脹

まずは精巣捻転症という病気を疑います。精巣を栄養する血管がねじれて精巣に血液が流れなく病気であり、一般的には学童期から思春期に突然発症することが特徴です。この病気の場合には発症から24時間以内に血管のねじれを解除することが必要であり、緊急手術を行うことになります。24時間以上ほっておいたような場合には、精巣が壊死して摘出せざるを得ないため、専門医を至急受診していただくことが大切です。
同様の症状を示すもうひとつの病気に精巣上体炎(副睾丸炎)があります。この2つの病気を鑑別することは時に困難であり、緊急手術によって診断せざるをえないこともあります。精巣上体炎の診断がついた場合には、抗生剤の投与のみで軽快するのが普通です。
その他、ヘルニア(脱腸)のかんとん等により同様の症状が出現することもあります。

痛みを伴わない陰嚢腫脹

様々な病気がこのような症状を呈しますが、思春期から40歳くらいの方の場合には精巣腫瘍(睾丸の癌)を念頭に入れて診察します。この病気は頻度としては低いのですが、非常に進行が早く転移しやすいのが特徴です。痛みもなく、また羞恥心から半年以上もほっておいた後に病院を受診される方もいますが、進行した場合にはその後の治療が困難になることもありますので、おかしいなと思ったらできるだけ早く泌尿器科を受診することをお勧めします。
その他、精索静脈瘤、陰嚢水腫等の疾患や、時に腎臓や肝臓の機能が低下している場合にも陰嚢部が腫れてくることもあります。陰嚢の腫脹(睾丸が腫れてきた)を自覚した場合、精巣捻転症というような緊急手術が必要な病気や、精巣腫瘍(睾丸の癌)のように手遅れになると致命的になるような病気が隠れていることもあります。恥ずかしがらずにできるだけ早く泌尿器科を受診されることをお勧めします。