大腸癌の治療
大腸癌に対する新しい手術治療法の紹介
腹腔鏡下大腸癌手術
従来の開腹手術のように20‐25cmほどの皮膚切開をおかずに、5-12mmほどの切開を5カ所に加えて、そこからトロッカーといわれる筒をおなかの中に挿入し、トロッカーから腹腔鏡と呼ばれるテレビカメラと、細長い手術器具をおなかの中に挿入し、テレビモニターに映るおなかの中をみながら手術を行います。おなかの中がよくみえるように、手術操作を行うのに十分な空間を確保するために、二酸化炭素でおなかの中をふくらませて手術を行います。手術自体は従来の開腹手術と変わらず、癌が存在する部位の大腸の切除と周囲のリンパ節の摘出(郭清といいます)を行います。切除後、腸と腸のつなぎなおし(再建)は、1カ所の傷を3-5cmに延長して体の外で行なうこともありますし、おなかの中でおこなうこともあります。
2005年度版大腸がん治療ガイドラインでは、早期大腸がんに対する外科治療のひとつとして認められていましたが、2009年度版の大腸がん治療ガイドラインでは進行癌にも適応拡大されています。当院でも当初は早期大腸癌に適応を絞って腹腔鏡下大腸がん手術を行ってきましたが、大腸癌治療ガイドラインの改定に伴い、進行癌にも適応を広げています。
2005年度版大腸がん治療ガイドラインでは、早期大腸がんに対する外科治療のひとつとして認められていましたが、2009年度版の大腸がん治療ガイドラインでは進行癌にも適応拡大されています。当院でも当初は早期大腸癌に適応を絞って腹腔鏡下大腸がん手術を行ってきましたが、大腸癌治療ガイドラインの改定に伴い、進行癌にも適応を広げています。
腹腔鏡下大腸がん手術の長所
- 傷が小さくて、術後の痛みが少ない
- 術後の回復がはやい
- 早く社会復帰ができる
- 傷への腸管の癒着が少なく、癒着が原因の腸閉塞(腸の通過障害)の頻度が低い
- 腸の動きの回復が早く、食事開始を早くできる
- カメラを使用して視野を得ているため、近接することにより、開腹手術よりも拡大した視野で観察することが可能となり、従来より精緻な手術ができる。
腹腔鏡下大腸がん手術の短所
- 手術時間が長くなる
- 術中カメラの視野に死角が生じるために、出血や他臓器損傷の危険がある
- 高炭酸ガス血症により不整脈が生じる事がある
- おなかの中に二酸化炭素を注入するために、おなかのなかの圧力があがり、心臓、血管に影響を与えることがある。
手術で使う腹腔鏡(カメラ)
手術風景:テレビモニターをみながら手術を進めます
テレビモニターと気腹(おなかのなかに二酸化炭素を送り込む)装置