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胃癌の治療


胃がん癌に対する新しい手術治療法の紹介
胃がんに対する治療は、日本胃癌学会が公表する胃癌治療ガイドラインに従い、術前診断に基づき手術を行っています。また、早期胃がんに対しては積極的に腹腔鏡手術を導入しています。

早期胃がんの新しい手術治療―腹腔鏡下手術

患者さんに優しい治療を目指して

胃がんに対する腹腔鏡手術は、1991年に日本で始められ、年々その手術件数は増加しています。胃癌治療ガイドラインで、「腹腔鏡下手術は、日常診療として推奨されるには至っていないものの、有望な治療法として期待される治療」とされています。当院では、1994年より早期胃がんに対し導入し、がんの根治性(しっかりがんを治すこと)を損なわず患者さんへの負担を出来るだけ軽減することを最優先に考え、積極的に腹腔鏡下手術を行っています。

腹腔鏡下手術の対象

当院では、早期胃がんに対し腹腔鏡下手術を行っています。
内視鏡治療(胃カメラによる治療)では切除できない早期胃がん(病期I)に対し、腹腔鏡下手術を行っています。早期胃がんは、治療により治る可能性が高く、より体への負担の少ない治療を考えて腹腔鏡下手術を行っています。

腹腔鏡下手術の実際

腹腔鏡手術は、腹腔内(おなかの中の空間)に炭酸ガスを入れて、お腹を膨らませて腹腔鏡を挿入しモニターを見ながら特別な器具を使って手術を行います。腹腔鏡や器具を挿入するために、5~10mmの小さな穴をお腹に左右5‐6カ所開けます。

腹腔鏡下手術の実際

腹腔鏡下手術の実際

従来の開腹手術(お腹の正中を20から30cm切開する)と比べ、直接手で臓器を触れずにモニターを見ながら特別な器具を用いて手術を行いますが、胃がんを確実に治すために切除すべき胃の範囲やリンパ節は、開腹手術と全く変わりません。
腹腔鏡手術は、小さな傷で済むため術後の痛みが少なく術後の回復が早いとされています。そのため、個人差はありますが、食事を早くから摂れたり、早く社会復帰が出来ることがメリットです。
デメリットとしては小さい傷で行うため手術手技が煩雑になったり、手術時間が少し長くなったりする(近年は開腹手術とほぼ変わりません)ことです。また、内臓脂肪の多い人、上腹部の手術既往がある人は腹腔鏡手術を行えないことがあります。当院では、腹腔鏡補助下胃切除術、腹腔鏡補助下胃全摘術、また出来る限り機能を温存した腹腔鏡補助下幽門保存胃切除術、胃を残す工夫をした腹腔鏡下噴門側胃切除術を行っています。

腹腔鏡補助下胃全摘術直後の創

開腹胃全摘術直後の傷


機能温存手術として行われる腹腔鏡補助下幽門保存胃切除術

幽門保存胃切除術

胃の手術後は、一度に食べられる食事量が減少したり、食べ物がすぐに小腸に流れていくことで、食事後にドキドキしたり、気分が悪くなったり、ふらふらしたりする症状(ダンピング症状)が起こります。ダンピング症状を予防する目的で胃の出口(幽門)を残し胃の機能を保つ幽門保存胃切除術を腹腔鏡下に導入しています。

患者さんへのさらなる負担の軽減を目指して

従来、腹腔鏡補助下手術は、切除した胃を取り出したり、胃や腸をつないだりするために腹部に4cmの傷を上腹部にあけていました。最近、手術法にもよりますが、腹腔鏡補助下胃全摘術に対しては、おへそを3cm程度切ってそこから、切除した胃を取り出したり、腸をつないだりすることが可能となり、より負担の少ない手術に取り組んでいます。

進行胃がん

進行胃がんに対しては、従来通りお腹を開腹(正中に20‐30cm程度)し、病変の位置により手術術式(幽門側胃切除、胃全摘)を決定し、リンパ節郭清(胃の周囲の脂肪組織も一緒に切除する)を伴った定型手術を行っています。
非常に予後が悪いと予想される高度進行胃がんに対しては、すぐ手術を行うのではなく、手術前に抗がん剤による治療を行う術前補助化学療法もそれによるメリット、デメリットをしっかり説明し、抗がん剤と手術を組み合わせた集学的治療を行っています。術後補助化学療法は、胃がん手術後に再発予防を目的として行われる抗がん剤治療で、手術後の切除した病変の詳細な診断により、適応となる患者さんに対しては、その必要性を説明し治療を行っています。