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乳癌の治療


乳癌の転移形式

近年、乳癌は日本の女性では最もかかりやすい癌となり、毎年約4万人が乳癌にかかり少しずつ増えています。早期に発見・治療されれば、治癒しうる(生存率が高い)ので、定期的な乳癌検診が推奨されています。がんを早い時期に発見するためには、毎月の自己検診に加えて、「マンモグラフィ」などの画像検査を取り入れた乳がん検診を定期的に受けることが大切です。
乳がんは治療をせずに放っておけば、下の図のように、周囲の組織に拡がり、リンパ管を通ってわきの下(腋窩)のリンパ節や鎖骨の上のリンパ節、あるいは血液を通って骨、肺、肝臓などの臓器へ転移し、命を脅かすことになります。

乳癌の手術

このような事態を未然に、あるいは可能な限り防ぐために、できるだけ早く治療を開始しなければなりません。乳がんの手術法は、乳房全体を外科的に取り除く「乳房切除術(全摘出)」と、しこりを含む乳腺の一部を切除する「乳房温存手術」に分けられ、必要に応じて腋窩リンパ節を郭清(手術で取り除く)します。
手術する範囲を縮小できるかどうかは、病気の程度によって異なりますが、乳房温存術に放射線照射を加える乳房温存治療と乳房切断術の長期生存率に差がないという結果が報告されています。乳がんは、局所から全身へと段階的に進展するのではなく、あるものは比較的早い段階で全身へ拡がっている可能性のある"全身病"であるという考え方が一般的です。つまり、手術で局所のがん細胞を完全に取り除いたと思われても、目に見えない微細ながん細胞が全身に拡がっている可能性があり、乳がん治療の成功度は、手術の大きさやリンパ節の郭清度だけによるのではなく、手術の時に全身への転移が起きているかどうかで決まるという考え方です。ですから、手術で必要以上に大きく切除する必要はなく、それぞれの患者さんに応じた手術を行い、ごく微細ながん細胞が全身へ転移している可能性がある場合には、その程度を予測しながら、局所的な治療(手術±放射線照射)と全身的な治療(化学療法やホルモン療法)を加えて、乳癌を根絶させようという方針で行っています。

センチネルリンパ節生検

センチネルリンパ節生検

乳癌の一部は乳房の周囲のリンパ節(特に腋窩リンパ節)を通って全身に拡がる性質があります。これまで、手術の前に腋窩リンパ節転移があるかどうかを正確に診断することが難しかったため、手術で腋窩リンパ節を全て取り除く"腋窩リンパ節郭清"を行うことが標準的な術式となっていました。
腋窩リンパ節郭清は局所再発を制御し、リンパ節転移の評価が予後予測/治療方針の指標となるという役割があります。しかし、郭清しても腋窩転移がない場合が半数以上であり、患側の上肢のむくみ(リンパ浮腫)、腋窩・上腕のしびれ・違和感、患側の肩関節のこわばり・大胸筋の萎縮等の合併症に悩まされる場合が少なくありません。そこで腋窩郭清をしなくてすむ方法はないか、つまり腋窩リンパ節転移があるかどうかを小さな傷から調べられるように開発されたのがセンチネルリンパ節生検です。癌が最初に転移するリンパ節(センチネルリンパ節)を見つけ出し、ごく小さな傷からとりだして転移の有無を検討するものです。センチネルリンパ節に転移がなければ、腋窩郭清を省略することができ、上述の合併症をさけることができます。

センチネルリンパ節理論

センチネルリンパ節理論

当院では2007年10月からセンチネルリンパ節生検を施行し、リンパ節郭清の合併症である上肢の浮腫、神経障害の低減に努めております。

症例検討会

毎週木曜日に内科との合同症例検討会、毎朝、手術症例検討会、木曜日に手術症例の術前術後検討会、水曜日にはマンモグラフィー読影会を行っています。